3歳で扁桃腺を取っても大丈夫?

2010年9月、当時3歳だった長男が扁桃腺を取る手術をしました。
その経緯や結果など、思い出せるだけ書きたいと思います。
長編ですが…悩んでいらっしゃる方のご参考になれば幸いです。

注意
※後半に切除した扁桃腺の写真が出てきます。
※病院名など問い合わせには対応しておりません。

以下、2011/08/09更新時点の内容です。
最新医療とは内容が異なる部分もございます。


・手術当時の年齢 3歳半

・手術前の息子
0歳後半から「鼻水がたれた数日後には40度の発熱」を繰り返す。
熱はいったん出たら薬を飲んでも1週間は下がらない。
また、熱が下がれば今度は中耳炎・・・という悪循環。
冬場には月に二度のペースで発熱し、幼少の頃から抗生物質漬け。
頻繁に体力を消耗するため体重が増えても、すぐに減っていました。

・手術を勧められた時期 3歳1ヶ月
かかりつけ耳鼻科の先生の「これはもう取ったほうがいいかなぁ。」
という言葉で始まりました。先生は「4才になってから」という
先の話をしていたのですが、ちょうど私が妊娠中で、
息子が4歳になる頃には乳児を抱えている計算だったため、
「それなら生む前に取ります!!」と急きょ3才半での手術を決定。
通常は一年先の予約になるところ、なんとか臨月中に予約を
取りつけました。

・病院
東京都心のとても良い病院を紹介してもらいました。
全国から耳鼻科関係の患者が集まってくるとのこと。
先生の腕もよく、ホスピタリティーも徹底されていました。
何より、身重で往復が難しい私に有難かったのは、
初診の前に電話で症状などを伝えて手術日の先約
できたことです!! 紹介状があったからだとは思いますが、
普通こんなことはしてもらえないですよね。電話の取次ぎが
とても丁寧でスムーズなのも好感が持てました。
他にも色々と面倒な質問やお願いをしたのですが
その可否はともかく、嫌な顔は一度もされませんでした。
こうまで徹底された病院はなかなかないと思います。

※病院名を出してよいものか判断できないため伏せますが
どうしても知りたいという方はメールでお問い合わせください。

・意外な注意点1
手術の4週間前からは予防接種を控える必要があります。
退院後は特に制限ありませんでした。
退院が9月半ばだったので、退院後すぐに肺炎球菌を打ち、
10月にはインフルエンザの予防接種をしました。

・取り方
口を大きく開けて、扁桃腺をえぐり取る方法。
切り取った後、基本的に縫合しません。
「えぐりとったまま」です。恐ろしい手術です・・・
ただ、上手な先生がやれば術後の止血だけで十分なのだと
今回よくわかりました。実は主人も別の病院で数年前に同じ
扁桃腺の手術をしたのですが、数日吐血していました。
毎日のように「痛いよ~痛いよ~」とメールが来ていました(笑)

大人になってからの扁桃腺手術は先生も本人も大変です。
子供の扁桃腺は基本「ころっ」と取れてしまい、術式も30分程度。
十分に大人だった主人は扁桃腺と周辺組織との癒着がひどく、
手術に3時間かかりました。
※ちなみに、縫合しないので、正式な「手術」にはあたらず
保険に入っていても「手術費」は出ません。


・手術に最適な時期とは?
息子の場合ではありますが、特に冬場は月のほとんどを
発熱ですごしていたので、少しでも体調の良い温かい時期を
狙いました。それでも予約いっぱいで、ギリギリ9月上旬。
よく「熱を出したから手術ができない」と言われていたので
体調管理に細心を払いながらハラハラとその日を待ちました。
実際は多少の発熱で炎症もひどくなければ実行できるようです。

・手術にやや不向きな冬場の活用方法
冬場は手術に適しませんが(体調管理が難しすぎて)
扁桃腺を腫らしていることが多いので、実際を先生に見ていただけます!
何ともない時を見てもらうより、ひどい時を見てもらうべきです。
この次期を有効に使って、できれば夏休み次期の手術予約を
確保したいですね ^^

・入院
8泊9日の入院でした。
早く治れば早く退院もできるらしいのですが、
子供の場合「食事」の加減がわからず、つい硬いものを飲み込んで
傷口のカサブタを剥がしてしまい大出血、ということがあるため
出血時にすぐ対応できるよう、ある程度の期間は院内にいたほうが
安全なようです。

・入院に最適な時期とは?
8月中や12月は、長期休みを利用した子供の入院が多く、
比較的、入院生活が楽しいようですよ☆

・個室か大部屋か?
今は子供の医療費がタダなので、その負担がない分
入院ベッドは個室にしました。結果的には手術費と同じくらい
費用がかかりましたが、その判断で間違いありませんでした。
3歳なので夜一人では眠れません。24時間付き添いが必要です。
泣いたりぐずったりもあります。周りの方々に都度気を遣うのは
1日ならまだしも8泊9はきついです。
また、「トイレ!!」と言われたら点滴を引っ張ってトイレに抱えて
いかなくてはいけません。個室にはトイレがついているので
まだなんとかなりましたが、それでも大変でした!

・麻酔
何よりも麻酔が一番心配でした。全身麻酔です。
全身麻酔といえば「万が一の事故」が気になりますが、
話を聞くと子供にはむしろ全身麻酔の方が安全のようです。
意識があったゆえに手術のトラウマが残るとか、
切除中に動いてしまって大出血とか、それも怖いです。
つまりはしっかりした麻酔医による全身麻酔が一番安全。
今回の病院では全ての手術に熟練の麻酔専門医が付き、
事前説明も充分だったので、手術当日の不安はゼロでした。

・意外な注意点2
麻酔から醒める時に暴れるため、術後すぐに大人が
添い寝をして脚と手をガッチリと抱き込みます。
いつの瞬間に目が覚めて暴れるかわからないので
添い寝担当はなかなか大変な緊張です。
私は臨月だったため「おばあちゃん」が担当。
そして実際、かなりの大暴れでした。
点滴をつけたまま暴れます。
おばあちゃんは汗だくでした。
そういうわけなので、「添い寝」担当の方は当日
動きやすい服装でお越し下さい(笑)着替えもあるといいです。

・入院前の「子供対策」
事前に怖がらせることは避けましょう!
手術室の前まで来たら、後は先生達と一人で入って行かなくては
いけません。ここで座り込んで動かなくなってしまう子もいます。
息子も3歳でだいたいのことがわかる年だったので、手術とは言わず
「なんでいつも喉が痛くなるのか、検査をするんだよ」と前々から
話してきました。先生方にもお願いをして「検査」という言葉を
使っていただきました。
術後「喉が痛い」という息子には「また喉の風邪を引いちゃった
んだね。検査は終わったけど、風邪が治るまで入院しようね」
と話しました。そういうわけで、最初から最後まで騙し通され(笑)
「手術」を知ることのなかった息子なのでした!

・術前の痛み
これは全くありません。(病院にもよるかとは思いますが)
なので「何も痛くないからね」と言うのは嘘になりません。
手術台に乗ったらフルーツ味のする甘~いガスを吸わされ、
眠くなったところで点滴や麻酔の針を刺します。
よって、術後、目が覚めるまで、全く痛みを経験しません。
目覚めてからもしばらく痛み止めが効いています。

・術後の痛み
大人でも「水が飲み込めないくらい喉が痛い」風邪を引くことが
ありますが、子供の術後の痛みはそんなものらしいです。

ただ、これも個人差があり、特に男の子は痛みに弱いようです。
また、手術当日より翌日の方が痛く、一番辛いと言われました。
息子は夜中に眠れず何度も起きて、付き添いだった
おばあちゃんが一晩中抱っこしたりさすったり、寝ずの看病でした。

通常、子供の扁桃腺はコロっと取れてしまい痛みもさほどではなく
翌日からバクバク食べられる子もいるそうです。
が、息子の場合は頻繁に発熱を繰り返していたため癒着がひどく
扁桃腺自体も大きかったため傷が大きくて予想外に苦しみました。
それでも大人の体験する痛みに比べれば格段に楽(パパ談)。
回復も早く、4日目からは「みるみる」元気になっていきました。

・意外な注意点3
手術後、傷口にカサブタができるまでの数日間がとにかく
要注意なのですが、子供の場合、その時期に風邪をひかせて
しまうのが一番良くありません。咳やくしゃみを我慢できず
傷を開いてしまい、大出血につながることがあるからです。
大人なら出血しても意識のあるまま止血できますが、
子供は暴れるなどして冷静でいられないため
すぐに全身麻酔→手術のやり直しとなります。
折り悪く手術当日に私が風邪をひいてしまったため、
マスクをしていながらも早々に追い返されました。
他の患者さんにも影響することなので当然です。
手術前にはお子さんだけでなく付き添う方々の健康管理にも
十分にご配慮下さい。

・食事
手術当日は何も食べられませんが、翌日からお粥スタートです。
水分は術後からすぐに摂取可能。
というよりは、無理やり飲まされました(笑)
看護婦さんや皆が固唾を呑んで見守るなか、「ゴクリ」と飲み込んで
「大丈夫」と言っていました。が、痛み止めが切れてきたあたりから
飲み込むのを涙目で嫌がり、仕方がないので点滴になりました。

柔らかいものなら食べられる、といっても注意が必要で、
例えばヨーグルトはベタついて飲み込む時に傷を引っ張るので
初期は食べられません。意外にも初期から食べられるものが
「そうめん」。ツルっと飲めて塩気もあり子供ウケ◎でした。
卵豆腐もよく食べていました。

・意外な注意点4
幼児の場合、一回の食事量が少ないので、オヤツが必要です。
が、オヤツまで気を配ってくれる病院はなかなかありません。
子供のオヤツはお菓子ではなく、食事を補うものですが
柔らかいものしか食べられない・・・のに、病院からの提供はない。
私達の場合は、お粥のレトルトやインスタントリゾットなど、
近所のコンビニでなんとか調達していました。

ここで一つ問題なのですが、
2歳3歳の子供を病室に一人にすることは絶対にできません。
ベッドから落ちたり点滴が取れてしまうことも心配ですし、
寂しくなって親を探しに外に出られたりしたら大変です。
そうなると買い物にでられません。
看病する側もお腹がすいたり喉がかわいたりするのですが
とにかく出られないのです。
特に、手術当日から2・3日は子供も病室で食事です。
食堂に行けるようになれば親もそこで食べられるのですが
それまでは自分の食事なんて手が回りません。

私は臨月ということで、夕方6時から朝9までの付き添いを母に
頼んで、自分は朝から夕方、看護についていました。
途中お見舞いの方がきてくれたり、弟や父の助けもありました。
(頼りの主人は風邪でダウン。今でも非難されていますw)
交代のタイミングで必要なものを持ってきてもらったり
できましたが、例えばママ一人で付き添いだったりすると
上記のような飲食問題が発生します。かなり大変です。

入院前に看護体制をプランすることも大切ですし、病院内の施設
(コンビニがあるか、オヤツが出るか、付き添いの人の食事も
お願いできるか)や、病院外の施設(コンビニ、スーパー、
お弁当屋さんがあるか)などの確認も重要です。

また、喉の手術の後にはアイスクリームが食べやすく、
栄養補給にも役立ちます。病室には普通冷蔵庫しかないので
看護室などでアイスクリームを預かってもらえるかも
確認すると良いでしょう。

今思い出すと、病室の冷蔵庫の中は子供用よりも
大人用の食料でいっぱいでした(笑)

・点滴
水分補給の点滴を数時間、抗生物質の点滴を数十分、一日に3回。
これがまた大変、子供には辛いものでした。
針は一度刺したらそのままで、点滴パックを替えるだけなのですが
血管が細いので、「点滴の液が入ってくるのが痛い」んですね。
食事を半分食べられるようになれば点滴も必要なくなるのですが
痛みでなかなか食べられず、4日間、長時間の点滴。
点滴の後半には「痛い・・・」と毎回涙目で訴えていました。
それでも最後の一滴まで「抜いて」とは言わずに耐えて
憔悴した顔で「すごく頑張ったの、お母さん覚えていてね…」と。
もう親が泣けます。
寝ている間に終わる手術より、術後の方が大変でした。

・その他のマイナートラブル
①前日入院で息子脱走
「お父さんとお泊り♪」と気丈だったものの、夕方になり
「お母さんのところに帰る!」「お金があればタクシーで帰れる!」
そして父親を置いて自分で階段を下り病院の外まで脱走。

②退屈とワガママ
ずっと同じ病室内に9日間。元気になってくる程に退屈度合いが
高くなります。「絶対にジョアが飲みたい!!」と言って譲らない
などのワガママも。多い時にはパパ・ママ・祖父母、マイ弟まで
総出で保育でした。個室ならでは、ですね。
あと、今回の入院で大変助かったのがDVD設備でした。
普段はNGですが、入院中は特別に・・・トトロやトーマスなど
日々新しいDVDをレンタルして退屈を紛らわせていました。
辛い点滴もDVDに集中している間だけは忘れられたみたいです。
DVDプレーヤーは幼児入院に必須です!

・退院と退院後の注意
柔らかい食事が取れて、傷口に白いカサブタができていれば
無事退院です。あとはカサブタが自然に取れるまで大事にします。
息子は保育園に通っていましたが、食事はともかく、
友達との喧嘩で泣き叫んだりすると喉に良くないため
2週間ほどは自宅にいました。風邪もひかせたくなかったので
集団で遊ぶような児童館などにはつれていきませんでした。
本人は元気なので、これまた親が大変・・・
「手術」の影響はなかなか終わりません(笑)

・普通食開始
手術後の経過はかかりつけの耳鼻科で見ていただきました。
退院後2週間「過保護食」を続け、耳鼻科でみていただいたところ
「カサブタきれいに取れてる。完治!!」
えっ いつのまに取れたんだろう??
そういえば数日前に「何か飲んだ・・・」って言っていたけど、
あれがカサブタだったのかな。
「もうポテトチップスを食べても大丈夫」と言われ
「えっじゃあ納豆もいいの?いちごポッキーもいいの?」と息子。
本当に嬉しかったらしく、帰りに大好きな黒豆納豆とポッキーを
買い、硬い白いご飯を2杯、納豆2パック、とにかく大食いしました。

・意外な注意点5
ずっと柔らかいものを「ゆっくり少しづつ」食べていて、
いきなり大食いしたので少々胃にきました(笑)
喉のことしか頭になかったのですが、胃も少しずつならさないと
いけなかったんですね~。

・そもそも3歳で取っちゃっていいの?
これはもう親の判断だと思います。
一般には扁桃腺の役割は4才で終わる。と言われるようです。
息子は3歳半だったので、「もういいだろう」と判断しました。
でもひどい症状の子供などは2歳でも取るわけで、それ以後に
何か問題があったということは聞いたことがない、と手術を
して下さった先生はおっしゃっていました。

・術後の先生のコメント
「外からみたよりも扁桃腺が大きく、癒着もひどかった。
通常は上からくりぬくところ、下からいった。
癒着部分を糸で縛りながら出血しないように剥離した。」
取れた扁桃腺は過去の主人のものと同じくらい大きかったです。
とちおとめ一個分くらい。先生も大変疲れた様子でした。
「健康な(?)扁桃腺だとコロっとした形をしているけれど、
息子さんのはもう組織がボロボロで、花が開いたみたいに
なってますよ。」残念、素人にはわからない。
ちなみにこんなのです↓

私は見慣れているのですがグロかったらすみません。
比較対象は私の親指です。

扁桃腺炎の症状は痛み・発熱・呼吸難など色々とあるようですが、40度といった「高熱」が一番癒着を進めるようです。

息子の場合、0歳の頃から頻繁に発熱を繰り返していたので当然の結果でした。

ただ、先生のおっしゃるには「外から見ただけ」では扁桃腺がどんな状態かはわからず、手術して初めてわかるそうです。

そして、その結果は
「息子さんの扁桃腺は早くに取って良かった扁桃腺だったと思います」というものでした。良かった・・・

・ちょっと面白かった話
術後に先生が二つの小瓶を差し出して
「右と左、どっちがいいですか?」と聞いてきました。
息子の扁桃腺ホルマリン漬け…
「えーと😌、じゃあ、大きいほうで(左)」
「じゃあ右はいただきますね」
そうして息子の扁桃腺は左右離れ離れに。
もうきっと出会うことはないでしょう。

・最後の意外な注意点
先生に言われてはいましたが・・・
声が変わりました!!
「良い声というか、元の声になるというか」と先生がおっしゃっていて
どんな声になるのかな~、とドキドキしていましたが、
どんなになったかと言うと、「お子さま」な声になりました。
「~でしゅ♪」とかが似合いそうな声です(笑)
それまでは少年っぽくて、演歌を歌えばコブシも効く声
だったのですが、普通3歳でそんな声のわけないですね。
手術前と後の声も録音しておくと記念になると思います。

・手術後の息子
扁桃腺を取りましたが、それでも風邪はひきます。
風邪をひけば40度近く熱を出すこともあります。
ただ、以前のように1週間も発熱し続けるということはなくなりました。
また、風邪をこじらす頻度も本当に減りました。
今までは鼻水をみれば一同青くなっていましたが、
今は鼻水くらいはへっちゃらで、放置していても
気付けば治っていることがほとんどです。
手術は大変でしたが、今や親も子供も本当に楽になりました。
何より、寝込まなくなったため、息子がプクプクと可愛らしく
肥えてきました。楽しいイベントを発熱で逃すこともなくなりました。
術後初めての冬を無事に健康に越しつつ、心から
「取って良かった」と思います。

最終的に取る取らないの判断は医師のものになりますが、
もしお子さんが私の息子のように発熱を繰り返しているタイプでしたら
4才を待たずともお医者様に相談されることをおすすめします。
寝込むような高熱を何度も経験し、年中薬を飲んでいることの方が
子供にとって負担であるという判断もありますから・・・